「おっと」
ディーノのコートから落ちた細長いケース。
ケースから飛び出たモノを拾い上げて、ツナは
まじまじとそれを見つめた。
「さんきゅ、ツナ」
「あ、はい。どうぞ」
出された手に拾い上げたモノをのせて小首を傾げて
ツナはディーノの顔を見た。
「ん?」
「えっとそのメガネ・・・ロマーリオさんの?」
ディーノの右腕であるロマーリオは確かに眼鏡をかけている。
が、彼の眼鏡とは違う色合いの細身の眼鏡。
案の定ディーノは首を振ってそれを否定した。
「ん?いや俺のだ」
「ディーノさんの?!」
「仕事の時はたまにかけてんだよ。昔は目がよかったんだけどな、
パソコンとか長時間見てたらやっぱ視力落ちてきてさ」
「へえー」
意外な事実に驚くツナに、ディーノは手に持った眼鏡をかけて
ツナを見た。
「どーだ、似合うか?」
「似合う!結構似合いますね、ディーノさん。かっこいいー!」
「そっか」
少し照れくさそうにしてディーノが笑う。
いつもと少し違う知的な雰囲気に、ツナはぽわんと見とれていた。
「じゃあディーノさん、普段あんまり見えてなかったんですか?」
「そこまですっごい悪いわけじゃねえけどな。少しぼやける。だから
ツナのかわいい顔は」
眼鏡をはずし、ずい、とツナに顔を近づける。
「ほんとはこのくっらい近くねーとよく見えねぇ」
「は、はぁ」
間近に迫った顔にツナの息が止まりかける。視界いっぱいにディーノが
うつり、他は何も見えなくなった。
ディーノの瞳にも、ツナの姿が映っている。
ツナの反応に少しだけ顔を赤くして、ディーノは楽しそうに微笑んだ。
「かわいいな、ツナ」
「・・・っ」
真っ赤になったツナにくすくすと笑って、耳元に唇を押し付けた。
「いつもよく見ていたいから、今度からこの距離で話そうか」
「・・・・眼鏡!お願いですから眼鏡かけててください!!!!!」
その後数日間、眼鏡ディーノと過ごしたツナは
眼鏡が壊れる頻度に気づいて、はずす事を許可したという。
にんげんだもの。
いきおいだもの。